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ジャ・ジャンクー監督 “罪の手ざわり”レビュー

ジャ・ジャンクー監督 “罪の手ざわり”レビュー

現代中国のリアルな問題を動物のシンボルを交えて辛辣に描いた問題作、“罪の手ざわり”。

中国きっての鬼才ジャ・ジャンクー(賈 樟柯)監督、北野オフィス製作の日中合作映画です。公開前より、第66回カンヌ国際映画祭での最優秀脚本賞の受賞や、ネット流出事件などで話題になっているこの作品の公開が、迫っています。 ストーリーは、中国で近年に実際に起きた4つの事件をベースにして進みます。

*山西省の男 虎

村の共有財産であった炭鉱が実業家に独占されてしまう。説明を求め、村民のものである炭鉱を取り戻そうと、一人立ち上がる。

“虎穴に入らずんば、虎子を得ず”(後漢書:班超伝) 身の安全ばかり考えず、思い切って危険を冒さなければ、功名を得ることはできないという(Maki’s homepage 故事成語より)

*湖北省の女 蛇

風俗系サウナの受付をしている不倫中の女。妻子ある男との不安定な関係、理不尽な客からの罵倒。年老いた母の存在。小さな山の中の村で、自分自身を守る為に彼女ができたことが他にあったのだろうか。

“逆鱗”(韓非子:説難)どんなにおとなしい人でも触れると思わずかっとなってしまうことがあるということ。( Maki’s homepage 故事成語より)

*広東省の男 魚

住み込みでナイトクラブでの勤務を始めた青年。そこで出会う風俗嬢。純愛と葛藤、家族の生活苦。鳥のように飛び経ちたいと願う彼は。。。

“釜中の魚”(資治通鑑) 先の短い生をたとえることば ( Maki’s homepage 故事成語より)

*重慶市の男 牛

妻子を村においたまま、出稼ぎにでる男。心がささくれた男の唯一の安らぎは銃声の音。そして、彼はまた汚れた金を手にする為に旅立っていく。

“牛の一散” 歩みの遅い牛でも、一目散に走り出すことがあるように、常に鈍い愚人が考えもせずにはやり進むこと。(ことわざの部屋より)

漂泊感のある映像と、4つの独立した、心に刺さる実話を元にしたストーリーが、絡み合い、中国全体へと広がっていきます。急激な高度経済成長の影にある、想像を超える大きな貧富の差。精神的、社会的な歪み。ひたむきに生きるが上に、罪に触れる事になる彼らの姿。この映画は、人々が共通の問題を意識する手段として、実際に起こった事件を率直に描く事で、中国だけでなく、第三世界の国々がこれから通らざるをおえない問題に、一度考えを巡らせるきっかけを与えています。

7年ぶりの長編に対し、4月2日に来日したジャ・ジャンクー監督 はこう語ります。

悲劇的な状況を受け入れて耐える人々を撮ってきました。しかし、この数年現実に起こった事件を調べると、そうではなかった。また、中国では長年映画で暴力を語ることが許される環境になかったので、語ってみたいと思った。暴力とは何かと考えたとき、人間の本質にあるものだと思った。暴力がなくなることを願って、この作品を撮りました。一方で(社会問題などの)暴力に対し、暴力で立ち向かった人の気持ちも尊重します“(映画.com 2014年4月2日の記事、ジャ・ジャンクー監督が来日 カンヌ脚本賞受賞の最新作「罪の手ざわり」語る、より抜粋)

犯罪と暴力について描かれているこの作品ですが、北野オフィスらしい、グレイッシュな色彩が、ジャ・ジャンクー監督の詩的かつリアリスティックな世界観の中で、より精神性を強調させて います。

この作品は、5月31日より、Bunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開予定です。

“罪の手ざわり”オフィシャルサイト http://www.bitters.co.jp/tumi/

About Yayoi Nakanishi

Laurea in disegno tessile. In Giappone ha lavorato come stilista, ha studiato web design e si è occupata di e-commerce. Nel 2008 si è trasferita in Italia. dove applica le sue competenze nei settori del commercio, della grafica e delle traduzioni. 東京造形大学 造形学部 テキスタイルデザイン専攻卒。 某シューズメーカーにてメンズ、レディースの企画デザイン全般を担当後、ウェブデザインを学びEコマースに携わる。2008年渡伊。アパレル、シューズ販売に携わる傍ら、ロゴ、フライヤー製作等のグラフィックデザイン、翻訳などを行っている。FuturAbles.comのイタリア語から日本語への翻訳、モード&デザインに関する記事の執筆、グラフィックデザイン全般を担当。

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